ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

徳島ヴォルティス2021シーズン選手別総括 GK&DF編 ~希望と現実~

昨日をもって、徳島ヴォルティスの2021年J1リーグでの戦いが終わりました。勝点36の17位で来シーズンはJ2降格。下位4チームが降格という異例のレギュレーションを戦い抜くのは、容易くなかった。実力不足を痛感する試合も多かったけれど、何もかもが駄目だった訳ではない。通用した部分と足りなかった部分。チームとしての問題と選手の質の問題。ピッチ内で解決できることとできないこと。浮かび上がった様々な課題を、分けて総括する必要があります。

とはいえ私は外部の人間です。監督と選手の間でどのようなやり取りがあったのか。実際にチームの雰囲気はどうだったのか。スポンサー集めや補強においてどんな誤算や収穫があったのか。内部の事情は知る由もありません。ここではピッチ上でのプレーを観て感じたことに焦点を絞って、勝手な感想を垂れ流したいと思います。選手の移籍や監督の去就が未確定な、今だからこそ書けることもあると思うし。それではいってみよう!

※レンタル移籍中の選手や今年リーグ戦で出番が無かった選手については、コメントのしようがないので割愛します。あくまで「自分が見たもの」の範疇での総括です。

~GK~

21・上福元直人

間違いなく昇格の立役者の一人だった、'神'福元。キックの精度はJ1でも上位レベルだったし、特に相手の頭越しにサイドバックやウイングへ届けるキックは健在。一方でJ2時代から指摘されていた、サイズの無さによるハイボール対応の脆さやセービングエリアの狭さは、J1の猛者を相手に誤魔化せなかった。コースは消しているけど頭上を抜かれたり、飛び出した股を抜かれたりと、ガックリくる失点も多かった。とはいえシーズン序盤はカカの来日遅れと離脱者が重なり、デイフェンスラインは経験の少ない若手ばかりで、あたふたするディフェンス陣をまとめながら自身のプレーに集中するのは大変だったと思う。この点に関しては同情しかない。編成の問題。キーパーとして老け込むような年齢ではないので、再昇格へのキーマンとなるのは間違いないだろう。2023シーズンはJ1で、今度こそ'神'福元になってほしい。

29・松澤香輝

上福元・長谷川に次ぐ第3キーパーという立ち位置のため、リーグ戦の出場は無し。ベンチ入りする機会はあったものの、リーグ戦のピッチには立てずに終わった。選手がヘディングでボールを繋ぎ、最後の選手がバケツに入れるという2017年のトレーニング中のミニゲームで、アンカー松澤が身体ごとボールを押し込み監督・選手の大爆笑を誘っていたのが印象的。来シーズンも選手としてムードメーカーとして、チームに残ってほしい。

31・長谷川徹

徳島のドン・長谷川はJ1でも4試合に出場。レギュラーの座を争う上福元と異なり、こちらはクラシカルなタイプのキーパー。ハイボールの処理や近距離からのシュートストップには一日の長があるのだが、現代のキーパーに求められる足下の技術や、ディフェンスラインの裏をカバーする飛び出しは得意ではない。チームが今のスタイルを貫く限り、カテゴリーに関係なく出番は限定的になるだろう。このまま徳島に骨を埋めるか、外に出て選手としてもう一度勝負するか。たぶんJ2なら普通にやれる。本人の決断やいかに。

40・後東尚輝

下部組織出身のキーパー。上福元・長谷川の年齢を考えると、次代のキーパー育成は必須であり、後東くんに期待しているサポーターは多い。来季は京産大から田中颯の加入が発表されており、年齢の近いライバルが増えることになる。将来を考えれば、カテゴリーを下げてでも出場機会を増やした方が本人のためではないだろうか。それにしても、若いって羨ましい。

 

~右SB~

15・岸本武流

水戸在籍時に岩尾を負傷させたことで「徳島の敵」と認識されていた岸本も、今やすっかり「徳島の顔」となった。リカルド政権下でアタッカーからサイドバックへコンバートされ、成長を続ける若武者はJ1でも持ち味を発揮。機を見た攻め上がりとスピードを生かしたカバーリング。1on1での粘り強さやクロスの精度も年々向上を見せており、徳島にいわゆる「ボックスストライカー」的な選手がいれば、さらに市場価値は高騰していた気がする。岸本が良いクロスを上げているけど中の枚数が足りない、選手がそこにいない、みたいなシーンも多かった。もはやJ2でプレーするレベルの選手ではないので、お別れになっても仕方ない。残念だけど。愛されキャラでもあるので、どこにいっても可愛がられる選手になると思う。

22・藤田征也

ベテランは今季も岸本のサブとして存在感を発揮。キックの精度は相変わらず高いのだが、かつてのようにスピードで何とかするスタイルではないので、年々出来ることは限られてきている印象。それでも一度は湘南を契約満了になりトライアウトに参加していた選手が、再びチームで居場所を確立しJ1まで戻ってきたのだから、本当にすごいことだと思う。岸本のクロスが上手くなったのも、藤田の教えは大きかったみたいだし。来年も自身も頑張りつつ、次代のサイドバック育成に手を貸していただきたい。

 

~左SB~

4・ジエゴ

徳島のびっくり箱。今日のジエゴは良いジエゴか悪いジエゴか、箱を開けてみるまで誰もわからない。良い時は攻守に渡ってアグレッシブなプレーを見せるのだが、悪い日は別人のように自信なさげなプレーを披露したりする。J2ではジエゴの「異物感」が、特に攻撃面で良いアクセントを発揮してくれていたのだが、受けに回る時間も増えるJ1では弱点となる試合も多かった。もし俺が相手チームの監督でも、徳島と戦うときは左サイドを狙えって指示する気がする。それでも180㎝オーバーの動ける左利きというスペックはロマンに溢れており、もう少しその才能に賭けてみたい気もする。噂では今年が契約最終年らしいが、去就はいかに。

2・田向泰輝

ジエゴのような派手さは無いのだが、堅実でいぶし銀のプレーを見せる。「田向が好き」って言っとけば、何となく玄人みたいに思われるやん?俺がそうだから。プレーの安定感やクレバーさという点ではジエゴを遥かに凌ぐのだが、いかんせん右利きであるという点とサイズや身体能力という部分で、J1の左サイドバックとしては物足りなさがあったのも事実。3バックへの可変ビルドアップなんかでは良い働きをするんだけど。良いお父さんになりそうだけど、遊び相手としては物足りないみたいな女子大生的な感想で〆たいと思います。繰り返しになるけれど、俺は玄人だから好きだよ田向のこと。

27・吹ヶ徳喜

誰もが驚いた開幕スタメンからあれよあれよと波に乗り、6節までで5試合にスタメン出場。その後突然の行方不明期間を経て、ポヤトス合流後は全く出番が無くなってしまった。縦への突破やクロスの精度で光るものは見せたが、受けに回った時の対応で脆さが目立ったのも事実。プロとして試合に出続けるゲーム体力も足りなかったのだろう。今年に関しては嬉しい驚きと発見だったが、来年は大卒三年目。そろそろコンスタントに試合に出場できる環境を探すべきかもしれない。

 

センターバック

3・ドゥシャン

マリノスからの加入が発表された当時「バイスの後釜」として期待も大きかったドゥシャン。いかんせん稼働率が低いのと現代的なセンターバックではない点が惜しい。ヘディングや前に出て相手を潰すプレーでは頼もしいのだが、ラインの裏をカバーするとかビルドアップで相手を剥がすといったプレーは不得手。とはいえ、このサイズでそれが出来ればJ2に来ないよね。昨日の最終戦後のセレモニーでは、別れを惜しむように一人一人とハグしていた姿が印象的だった。マリサポさんからの人気が高いのも頷けるナイスガイ。徳島に、J2に来てくれてありがとう。

5・石井秀典

鉄壁三銃士最後の砦は、舞台がJ1に移っても健在だった。気が付けばそこに石井、の存在感で若手ばかりのディフェンスラインに勇気と安定をもたらした。ドゥシャンとは対照的に対人プレーは強くないのだが、ラインコントロールカバーリングはお手の物。リカルド時代から取り組み続けてきた、ポゼッション時の働きも衰えるどころか、むしろ進化している感さえある。この年齢までレギュラーを争い続けていることからも、真の努力家なのだろう。徳島の環境も気に入ってくれているみたいだし、これからも頼れる中間管理職として、若手のケツを叩いてほしい。

6・内田航平

長らく戦線を離脱していたウチコーさんは、37節にようやく復帰。負けたら終わりの湘南戦。長期のブランク明けにも関わらず、1-0の残り10分で投入されるという鬼畜の所業を乗り越えた。最終節の広島戦でも、ミスが目立つ福岡と交代で後半から出場。喰いついた相手を離さない、絶対に抜かせないスッポンディフェンスは健在。175㎝とセンターバックとしては小柄なのだが、読みの鋭さやフィード力など、体調が万全ならJ2では上位クラスの選手。来季のチーム構成は分からないが、開幕戦でいきなりスタメン、なんてことになっても不思議ではない。

14・カカ

コロナ禍の影響で来日が遅れ、リーグ戦初出場は12節。来日当初はコンディションの問題もあってか軽いプレーも散見されたが、試合を重ねるごとに逞しく・センターバックらしくなっていった。ピッチ上の影響だけでいえば、最も欠かせないのは岸本かカカだろう。元々ボランチでもプレーしていただけあって、後方からの持ち上がりやフィードを苦にしない。スピードがあるのでカバーリングも得意。アタッカーと競り合う所作も板についてきた。このサイズで若くて現代的なセンターバックは、J1でもかなり希少だろう。契約は複数年残っているだろうが、ひょっとするとひょっとしてしまうかもしれない。

16・鈴木大誠

カカの来日遅れ、相次ぐ負傷者の影響もあって出番が回ってきた。昨季は徳島と同じポゼッション型の琉球へレンタル。その影響もあってか、縦パスやフィードの精度など以前より向上しているのは間違いないが、まだまだ未完成。ヘディングの競り合いなど強さを見せることはあったが、J1の舞台では役不足感が強かった。というかJ1で鈴木・安部のセンターバックとかヴォルサポでもびっくりだよ。J2でも無かったのに。貴重な経験を積んだのは間違いないので、生え抜きセンターバックとして大成してほしい。大誠だけに。だいせいだけど。

20・福岡将太

昨年から徳島に欠かせなかった福岡はJ1でも特徴を発揮。持ち上がるドリブルや両足でのキックでビルドアップに貢献した。スピードがあって1on1も弱くはないのだが、センターバックとしては上にも横にもサイズ不足感がある。肉弾戦やクロスへの対応では脆さを見せることも。センターバックがカカと福岡なら俺でも福岡を狙う。ただ彼のプレースタイルや動きのしなやかさを見ると、単にサイズアップしたら問題解決!ではなさそうなのが難しいところ。ヴォルティスのスタイルに合致した選手なので、このままもう一皮むけてほしい。

25・安部崇士

J2でも実戦経験の少ない選手に対して、J1のアタッカーを相手に守りビルドアップでも貢献しろ、なんてのはブラック企業も真っ青の課題要求だった。彼が素晴らしかったのはその経験や悔しさを無駄にせず、育成型期限付き移籍で移った岡山で地位を確立したところだ。岡山サポからは借りパクの声が次々とあがり、今季で引退する玉田圭司から「何歳?いい選手だね」と声をかけられたそう。貴重な左利きのセンターバック。J2ではこれぐらいやれるという点も実証できているので、チームに戻しても使いやすいだろう。本当の悔しさは再来年、J1の舞台で晴らそう。

 

~MF編に続く~