ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

徳島ヴォルティス 2022シーズン ポジション別展望

 日本各地で冬の寒さが身に染みる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。我々は今年もまた「徳島の主力全部抜く」会の被害者となりました(n年連続n回目)。今年のやらかしっぷりは例年の比ではありません。キーパーからフォワードまで、いくら何でも気前が良すぎないかというレギュラー大放出。次々と湧いて出てくる主力移籍の噂に、しびれを切らしたC&Dさんは思わずこんなツイートを投下してしまう始末でした。

 ああ、わかってるとも。みんな悪いんだろみんな。J2に落ちたことも悪いし、徳島が田舎なのも悪いし、ダニの評価が定まりきってないのも仕方ないし、〇〇銀行もケ…おっと誰かきたようだ。とはいえ強化部はよく巻き返したと思います。少なくとも集められたメンバーから明確なメッセージが読み取れる。「徳島に来たら成長できる」という岡田さんの口説き文句も効果があったでしょう。なんせこれだけの出血を伴っているから説得力も倍増(白目)この戦力じゃJ2でも厳しい?いいじゃないですか。言わせておきましょうよ。我々は徳島のユニフォームを着て戦ってくれる選手を信じて後押しするだけです。去る者は追わず来る者は暑苦しく応援する。それでは早速ポジション別に2022シーズンを展望していきましょう。

 

※敬称略、各選手の年齢は2022年1月25日時点のものです。

GK

長谷川徹(33歳、4試合)

田中颯(22歳、京産大

松澤香輝(29歳)

後東尚輝(19歳)

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主な退団選手

上福元直人(京都)、瀬口拓弥(新潟)

2年間徳島のゴールマウスを守り続けてきた上福元が京都へ移籍。J1では長所も短所も出尽くした感のある選手だったので、個人残留は意外だった。上福元の移籍によってレギュラー争いは一気に混とん。実績と経験では長谷川が一歩リードも、キックとコーチングに定評のある田中颯もルーキー即レギュラーの大チャンス。選手会長の松澤ももちろん黙っちゃいない。インスタで"匂わせ"を続ける彼の動向次第では序列が一気にひっくり返る可能性があり、そうなると後東くんが武者修行に出ることもあり得るか。果たしてロドリゲスの動向やいかに(ロドリゲスって言っちゃったね)

 

CB(2枠)

カカ(22歳、26試合・1ゴール)

石井秀典(36歳、12試合・1ゴール)

内田航平(28歳、2試合)

安部崇士(24歳、29試合・1ゴール 岡山から復帰)

石尾峻雅(21歳、24試合 金沢から完全移籍)

森昂大(22歳、びわこ成蹊スポーツ大)

大森博(19歳)

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主な退団選手

福岡将太(ガンバ)、鈴木大誠(愛媛・レ)、ドゥシャン(未定)、奥田雄大(宮崎・レ)

徳島のスタイルにフィットして成長を続けていた福岡が、ガンバへ完全移籍。カカもブラジルのクラブへの移籍が何度も取り沙汰されたが、徳島へ強制的に連れ戻すことに成功した。ベテラン健在の石井、ケガから完全復活を目指す内田、岡山で貴重な経験を積んだ安部と顔ぶれは多士済々。安部は左サイドバックで起用される可能性もありそうなので、石尾にもチャンスは巡ってくるだろう。いかにも徳島に合いそうな石尾とは対照的に、対人・空中戦は得意とする一方、繋ぎの部分に課題がありそうな森は早くチームのスタイルに馴染みたい。本職はボランチの2年目大森も、186センチの長身と左足を生かしてセンターバックで起用される可能性があり、レギュラー争いはし烈。

 

SB(2枠)

田向泰輝(29歳、10試合出場)

新井直人(25歳、6試合出場 セレッソから期限付き移籍

藤田征也(34歳、15試合出場)

川上エドオジョン智慧(23歳・5試合出場)

石田凌太郎(20歳 名古屋から期限付き移籍

(安部崇士)

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主な退団選手

岸本(清水)、ジエゴ鳥栖)、吹ヶ(今治・レ)

岸本、ジエゴとJ1の多くの試合でレギュラーを担った両サイドバックが退団。素質は確かだが実戦経験に欠ける吹ヶも今治に武者修行へ。ケガに泣いた田向、高精度のキックを誇る藤田はチームに残り、両サイドバックができる新井、名古屋サポのみぎさんが「岸本2世」と太鼓判を押す石田がレンタルで加わった。順当にいけば左は田向と新井、右は石田と藤田のレギュラー争い。そこにエドがどう絡むか?な構図に見えるが、安部が左に収まるようだと右は激戦区となる。昨季までの徳島のスタイルであれば左は最終ラインに残ってビルドアップに携わり、右は大外を抉る香車の役割が求められた。役割の変更はあるのか?も含めて見どころの多いポジション。

 

中盤センター(2~3枠)

渡井理己(22歳、27試合・1ゴール)

白井永地(26歳、38試合・1ゴール 岡山から完全移籍)

長谷川雄志(25歳、15試合 大分から完全移籍)

櫻井辰徳(19歳、2試合 神戸から期限付き移籍

児玉駿斗(23歳、8試合・3ゴール(J2) 名古屋から完全移籍)

玄理吾(18歳、静岡学園

(大森博)

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主な放出選手

岩尾憲(浦和・レ)、藤田譲瑠チマ(マリノス)、鈴木徳真(セレッソ)、小西雄大(山形)、梶川諒太ヴェルディ

そして誰もいなくなったー。カピタン、ジョエル、徳真と昨年のレギュラーがごっそり引き抜かれ、気づいたらどさくさに紛れて小西も移籍しとるやんけ!しかも同カテかい!ほんで梶川戻さずに大丈夫なんか!阿鼻叫喚だった時期を乗り越えて、なんとか体裁は整ったように見えます。見えるだけかもしれない。岡山でJ2屈指のボランチの座を築いていた白井、らいかーるとさんお墨付きの長谷川、和製サンペールの櫻井、またまたみぎさん一押しの児玉と、ポテンシャルは十分な面々。長谷川と櫻井は両足を遜色なく使いこなせるのもポイント。今年こそ本領発揮に期待したい渡井も、後輩の玄の加入が刺激となってやってくれるでしょう。やってもらわなきゃ困る。[4-3-3]を継続するならば、白井、長谷川、櫻井、玄、大森から2人、1枠は渡井と児玉でガチンコといった感じのレギュラー争いだろうか。出て行った選手たちの出場時間を考えると、フルシーズンで計算が立つ選手をあと一人加えたかった感もあるが、若手の伸びしろに期待。とはいえ抜けた選手が強力なうえ、アンカー、ダイナモ、リンクマンとタイプも様々だったので穴埋めは大変だろう。現状は、ハマれば面白いがリスクも大きそうな構成に見える。

 

サイドアタッカー(2枠)

西谷和希(28歳、22試合・1ゴール)

杉森考起(24歳、24試合)

浜下瑛(26歳、20試合)

藤原志龍(21歳、15試合)

西野太陽(19歳、5試合)

坪井清志郎(21歳、13試合15得点(シンガポール一部) アルビレックス新潟シンガポールから復帰)

オリオラ サンデー(18歳、福知山成美

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主な退団選手

宮代大聖(川崎→鳥栖

西谷、杉森、浜下、志龍と、比較的出場試合数の多かった選手が残留。だが得点源となっていた右の宮代が退団したことで、代役を探す必要がある。コンディションが万全なら西谷が左の一番手なのは濃厚で、右は外からインサイドに入ってフィニッシュに絡むタスクが求められる。そうなると杉森、浜下以外に西野、坪井、サンデーと、よりフォワード色の強い選手が優先されることもあり得そう。右の序列次第では坪井、杉森あたりを中盤センターに組み込む策も?志龍は逞しさを身につけて西谷の壁を乗り越えてほしい。

 

フォワード(1~2枠)

ムシャガ バケンガ(29歳、9試合・1ゴール)

一美和成(24歳、12試合・2ゴール)

藤尾翔太(20歳、22試合・8ゴール(J2) セレッソから期限付き移籍

佐藤晃大(35歳、5試合)

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主な退団選手

垣田裕暉(鹿島→鳥栖

最前線で身体を張り戦い続けてくれた垣田が退団。化けるかバケンガ、京都時代にJ2での実績がある一美、伸び盛りの藤尾とレギュラー争いはほぼ横一線か。途中出場でアクセントを加える佐藤に、坪井・サンデーあたりも前線での起用がありそう。昨年も垣田・バケンガを前線に並べていた時期があったように、他のポジションとの兼ね合い次第でレギュラー枠が2になる可能性もある。徳島の新エースの座を射止めるのはだれか。

 

まとめ

 2021シーズン終盤の戦いをもとに[4-3-3]に当てはめてみたが、中盤の[3]は質・量ともに不安が残る。攻撃面の厚みを考えると渡井・児玉のどちらかはインサイドハーフで起用したいところだが、やはり守備面が不安。セットディフェンス時にはインサイドハーフを押し出して[4-4-2]に変換するなど、何かしらの工夫が求められるだろう。カカの残留と藤尾の加入によって、前と後ろは計算できそうなメンバーを揃えることができた。とりわけセンターバックに、1on1に強く球出しも苦にしない選手を揃えられたのは大きい。主力はごっそり入れ替わったが、リカルド色に染まった選手がいなくなったことで、ダニエル色を出しやすくなったと捉えることもできる。困ったときに立ち返る場所が無くなったとも言えるが。

 スカッドの若返りにも言及しておく必要がある。"若手の育成"といえば聞こえはいいが、かつてなら徳島が獲得できていたクラスの選手が、直接J1へステップアップするようになったことと無関係ではないだろう。主力の大放出も相まって、より育成段階を早める必要に迫られた。よって例年以上に不確定要素が多く、若い選手たちの伸びしろや可能性に賭けるしかない面もある。

 

 中盤から後ろはサイズがあって長いレンジのキックを苦にしない選手が揃うなど、新加入組から監督の好みも見てとれる。スタメンの選手が9人も入れ替わるなどJリーグの歴史でも滅多に無いことだろう。たしかに、昇格を目指しているチームがこれでいいのか?との懸念はある。だがそれ以上に未知の魅力を発見できる楽しみも大きい。リカルド・ロドリゲスが何者かわからず、でも何かを変えてくれそうな期待があった2017年の開幕前のように。

 "絶対に替えのきかない人"などほとんど存在せず、気づけば誰かが穴を埋めているものである。どんな組織でもそうだろう。地位は人を作る。試合経験が選手を鍛える。コンセプトに沿って集められた選手たちがポカスタのピッチを駆け回る日を楽しみに、開幕を待ちたいと思う。生まれ変わったヴォルティスで、J2を席巻しよう。