ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

【プレビュー】2021J1リーグ第2節 徳島ヴォルティスvsヴィッセル神戸

f:id:awaraccoondog:20210305184324p:plain

予想スタメン

徳島前節・アウェイでvs大分、1-1の引き分け。得点者は岸本。

神戸前節・ホームでvsガンバ、1-0で勝ち。得点者は古橋。

 

開幕戦を見た印象

 今回は徳島のホーム開幕戦となる、vs神戸の試合を占っていきたい。神戸とガンバの前節を見ていて驚いたが、神戸も徳島と同じような形でビルドアップを行っていた。左サイドバックの吹ヶを残していた徳島に対して、神戸は右の山川が残る形。ディフェンシブハーフは敵のファーストディフェンダーの背後に位置し「なんでもかんでもサリーしない!」な共通点もあった。だが、相手プレッシャーを受けたあとの展開は、両チームによって選択が大きく異なると思われる。

f:id:awaraccoondog:20210305185742p:plain

 プレッシャーを受けると、徳島はおそらくセンターバックが深い位置をとって相手を誘い出し、岩尾とジョエルのポジショニングによってパスコースを作り、中央やインサイドレーンへ楔のパスを狙うだろう。神戸のビルドアップもキーパーを組み込む過程は共通しているが、センターバックが幅や深さをとることは少なく、前川から酒井高徳へのパスラインが避難所となる。キーパーまでプレッシングにくるとシンプルに前線へ蹴りだすことも厭わない。

 また上図でも示したが、最終ラインに残る右の山川に対して、左サイドバック酒井高徳は大外レーンを担当することが多い。これにより井上が一つ内側のレーンに入って酒井からのパスを受けたり、運動量の多い山口が動いたスペースを埋めるなど、左サイドにおける潤滑油的な役割を果たす。

 とはいえ、本来サイドアタッカーではない井上。ガンバ戦でも、ボールをキープするシーンはあれど自ら突破を狙うシーンは見られなかった。「タメを作って酒井高徳のオーバーラップを促す」役割は期待されているだろうが、おそらく神戸の狙いは「左サイドに相手を寄せて右へ展開する」ことではないかと考える。

f:id:awaraccoondog:20210305191119p:plain

 徳島のプレッシングで重要なのは、フェルマーレンへのパスコースを切りながら前川に寄せること、および古橋に1on1の状況を作らせないこと、の2点になる。上述の通り、左サイドバックへの浮き球は得意な前川だが、左サイド→右サイドへの展開は浮き球ほどスムーズではない。このため、強めに圧力をかけるとアバウトなボールを蹴ってくるだろう。ただし、前川を封じても左利きのフェルマーレンにボールが渡るのでは意味がない!よって垣田に求められるのは、背後のパスコースを消しながら寄せること。そして古橋は常に2人で監視しておきたいところだ。

f:id:awaraccoondog:20210305192137p:plain

 前節を見たかぎり、神戸からボールを取り上げること自体は、それほど難しくないように思える。もっとも、今はそれほどボール保持にこだわりを持っていないのかもしれない。それは、大崎ではなく菊池!というセンターバックのチョイスにも反映されているように思う。徳島はセカンドボールをしっかり回収し、神戸の一列目・二列目を引きつけたうえで、ライン間のスペースを使いたい。菊池・フェルマーレンという神戸のスカッドを考えれば、宮代ではなく渡井を起用しても面白いだろう。また、井上が内側へ絞るポジションをとることが多い、右サイドも狙い目となるだろう。岸本のオーバーラップから早めのクロス。菊池に競られる前に、ニアで合わせたい。

 

まとめ

 イニエスタは不在ながら、サンペール、山口、フェルマーレン酒井高徳錚々たるメンバーをそろえる神戸。さらにサブには、ドウグラスも控えているのだから恐れ入る。だがチームとしての完成度も加味して比較すれば、徳島も決して見劣りしないように思える。古橋の個人技や左サイドで浮きがちなポジションをとる井上など、ところどころ守備で剝がされる場面もあるだろう。古橋と相対することになる左サイドバックの人選は、注目ポイントの一つだろうか。たぶん徳島が一番恐れているのは、ドウグラスにガンガン放り込まれることのような気がするけれど。