ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

【プレビュー】2021 J1リーグ第6節 徳島ヴォルティスvs横浜FC

f:id:awaraccoondog:20210320174635p:plain

予想スタメン

徳島前節・vs横浜F・マリノス(A) ●0-1。

横浜FC前節・vs名古屋(A) ●0-3。

 

 徳島ヴォルティス、横浜チャレンジの二戦目。対戦相手の横浜FCは、ここまで5戦5敗。得点3、失点16の最下位。リカルド・ロドリゲス招聘以降、似通ったスタイルで徳島を正面から打ち破った数少ない相手が、2019シーズンの横浜FCだった。その勢いのまま、徳島より一足早くJ1へ昇格。コロナ禍による「降格チーム無し」の恩恵もあり、2020シーズンは15位でフィニッシュ。J1定着へ波に乗るかと思われたが、今シーズンは一転、苦しいスタートとなっている。

 

大型CFを揃える横浜FC 

 横浜FCスカッドで目を惹くのは、センターフォワードの充実ぶりになる。渡邉千真伊藤翔とJ1でも実績のあるベテランに加え、スピードスターのジャーメイン良、J2の破壊王・クレーベを獲得。このクラスのクラブとしては異例の「大型センターフォワード祭り」である。

f:id:awaraccoondog:20210320180401p:plain

横浜FCのボール保持

 とはいえそこは知将・下平監督。安易に頼ることはせず、ボールを前進させるメカニズムをしっかりと構築している。徳島のように[4-4-2]で守るチームに対しては、セントラルハーフが縦関係になることで相手の一列目に対して数的優位を確保。手塚は左、瀬古は右利きのため、降りる選手によって配球に変化をつけられるのも強みだ。(手塚なら左サイド、瀬古なら右サイドへの展開が多い)

 前線ではサイドハーフが内へ絞り、大外レーンはサイドバックが担当する。徳島のサイドバックサイドバックを見れば、サイドハーフはチャンネルへ抜け出したり、2トップへシンプルに当ててから裏を狙うパターンもある。空中戦に強いクレーベを使われた場合には、セカンドボールの回収が重要になる。また、時おり守備で相手サイドバックをフリーにしてしまうシーンがある藤原の、マギーニョへの対応も鍵を握る。長身フォワードの強みを生かさせないため、簡単にクロスを上げさせてはいけない。

f:id:awaraccoondog:20210320181434p:plain

簡単にクロスを上げさせないことと、ライン間で浮くサイドハーフへの対応

 ペナルティエリア内での対応に注力し過ぎると、逆サイドのサイドハーフが内へ絞ってきてライン間でフリーになるようなポジションをとることもある。徳島はサイドハーフが付いていくのか、あるいはフォワードが下がってスペースを埋めるのか、対応をはっきり決めておきたい。

 

徳島の狙い目

 守備においては、徳島と同じ[4-4-2]でセットする。伊藤と渡邉はベテラン、クレーベは精力的に走り回るタイプではないことを考えると、ミドルゾーンで待ち構える形が基本になるだろう。2トップは中央封鎖を優先し、サイドハーフサイドバックへ対応するノーマルなパターン。

f:id:awaraccoondog:20210320183034p:plain

徳島の狙いたい形

 徳島としては、名古屋が見せていた形を参考にしたい。サイドバックサイドハーフセカンドトップの3人で三角形を形成しながら前進。サイドハーフが1on1の形を作れれば仕掛ける。相手が対応してくれば、トップをハーフスペースの裏へ走らせるなどして、敵陣深くへ攻め入りたい。横浜FCは、ボール保持には強みのある選手を揃える一方で、セントラルハーフや最終ラインのボール非保持時の強度はそれほど高くない。これまで通り、相手を動かしてズレを作っていけば、必ずチャンスは訪れるだろう。

f:id:awaraccoondog:20210320183902p:plain

1on1の状況が作れれば仕掛ける、サイドバックの加勢でサイドを攻略する

 

まとめ

 下位に苦しむチーム同士の対戦。一方で試合内容を見ると、横浜FCの方がより深刻、試行錯誤の度合いが深いように見える。前線に大型選手は揃うものの、下平監督の志向するサッカーとその補強はマッチしているのか?感が強い。ただし、大型フォワードに放り込まれるのは、徳島が過去何度も痛い目を見てきたパターンでもある。ボールを保持して相手を動かし、オープンな展開を避ける。フリーな選手は持ち運んで味方に時間とスペースを与える。サイドで前向きな1on1を作れば仕掛ける。これまで繰り返してきたことをブレずにやり続けることが、勝利への近道となるだろう。