ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

【プレビュー】2021 J1リーグ第22節 北海道コンサドーレ札幌vs徳島ヴォルティス

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予想スタメン

札幌直近5節 〇△〇〇● 前節・vs鹿島(A)0-4

徳島直近5節 △●△●●  前節・vs横浜FM(H)0-1

 

 前回の対戦は5/9。徳島のホーム鳴門で、札幌が2-1の逆転勝利を収めた。札幌はこの試合で2ゴールをあげ、J1でも堂々得点王争いをしていたアンデルソン・ロペスが中国のクラブへ移籍。この代役を荒野に任せるあたりが、いかにもミシャらしい選択といえそうだ。

 中断明け巻き返しを狙った徳島だが、FC東京横浜FMにホームで連敗。とりわけ前節では大きくスタメンを入れ替えるなど試行錯誤の跡はうかがえるが、ゴールへの道のりは遠く、重苦しい試合が続く。

前回とは様相の異なる札幌 

 札幌はチャナティップ、ルーカス・フェルナンデスと前回対戦時には不在だった選手が戦線復帰。前線の並びや両ウイングバックなど、チームとしての1stチョイスが大きく変わっている。また荒野は0トップ気味に、たびたび中盤深くまで顔を出し数的優位をもたらす。とはいえ、マンツーマン気味の守備、幅を使った攻撃、クロスからの崩しと方向性は引き続き明確。

 徳島として、まず警戒すべきはチャナティップになるだろう。福森・青木が大外で縦関係を作り、インサイドチャナティップが顔を出してボールを引き出す。ブロックの外で持たれる分には問題無いが、狭いスペースでも反転できる技術と俊敏性を兼備するため自由を与えないことが重要になる。ここはジョエルとカカの対人の強さに期待したい。

 

 またウイングバックに加えて、福森・田中の両センターバックサイドバックのように振る舞うことで、サイドアタックに厚みをもたせることも現在のミシャチームの特徴だ。福森以外にも、宮澤や最終ラインに落ちてくる高嶺・駒井など展開力のある選手が多く、サイドチェンジも多用してくるだろう。[4-4]のブロックで守る徳島にとって、逆サイドの大外は「捨てているスペース」になるが、粘り強くスライドを繰り返しながら守りたい。もっとも札幌がジェイをスタートから使ってこない限りは、高さという点において前回対戦時より迫力は無くなっている。クロスに対して逆サイドや後方から飛び込んでくる選手をしっかり捕まえておきたい。

 

徳島の狙うべきポイント 

 可変システムの弱点である、変形に時間がかかるのは札幌も例外ではない。とりわけ最終ラインの選手もフリーダムに振る舞う印象のある札幌のボール保持から、非保持の局面へと移るネガティブトランジションは徳島にとっての狙いどころ。鹿島が実行していたように前線で起点を作り、逆サイドのセンターバック(福森・田中)の裏へ素早く展開する形は狙い目だ。サイドハーフの人選は重要で、福森のオーバーラップを考慮して小西を右で使うか、あるいはファストブレイク重視で対面に渡井やバトッキオを置くのも面白いだろう。

 

 荒野のトップ起用の成果として、前線でのコンビネーションプレーも増えており、金子・チャナティップの裏抜けにも注意したい。徳島は最終ラインのラインコントロールとともに、上福元の飛び出しによるスペースの管理も重要になるだろう。マンツーマンベースで守ってくるチームに対しては、明確に質的優位を作れるポイントが存在すればぐっと楽になりそうである。だが両チームのスカッドを比較したとき、徳島が純粋な殴り合いで優位に立てるポジションは極めて限られるだろう。

 もっとも札幌のマンツーマンを逆手に取れば、徳島の立ち位置に札幌の選手が付随してくることになる。ボールを持ちながら相手の守備陣形をコントロールする。選手の立ち位置とボールの動かし方によって、守備網に綻びを作る。徳島の取り組みがもっとも発揮しやすい相手ともいえるだろう。北の大地で勝点3を持ち帰り、何とか重苦しい雰囲気を払拭してほしい。