ヴォルレポ

徳島ヴォルティスの試合を戦術的に分析するブログ

【プレビュー】2021 J1リーグ第3節 川崎フロンターレvs徳島ヴォルティス

f:id:awaraccoondog:20210309204217p:plain

予想スタメン

川崎前節・vs仙台(A)5-1の勝ち。得点者は小林×2、遠野、OG、旗手。

徳島前節・vs神戸(H)1-1の引き分け。得点者は垣田。

 

 ミッドウィーク開催のため、スタメンの予想が難しい今節。川崎は前節の仙台戦ではなく、先週の水曜日に行われたセレッソ戦を参考にスタメンを予想。というか、これがガチメンでは?感。大島僚太は負傷のリリースがあり、今節も欠場が決定的。

 先週の水曜日がリーグ戦だった川崎に対して、ルヴァンカップだった徳島。こちらはさらにスタメン予想が困難。リーグ戦二試合でいずれも途中交代、ルヴァンは完全休養だった吹ヶは今節もお休みと予想。昨年の主力だが、ここまで全く姿を見せていない西谷と内田は今節も欠場濃厚か。川崎から期限付き移籍の宮代は出場不可。今節で「リーグ戦の主力」と「カップ戦組」の序列がはっきり見えるかもしれない。

 

川崎のボール保持

f:id:awaraccoondog:20210309182205p:plain

川崎のボール保持

  図にすると少々陳腐に見えるのだが、川崎のボール保持はこのような形になる。大外のサイドバックが列を上げると、三笘や家長がインサイドに入る。徳島のように[4-4-2]でセットする形が基本のチームと対戦すると、各列の間にポジションをとる選手が多いことがわかる。

 川崎がさらに特徴的なのは、守備網の間に入った選手に容赦なく縦パスを入れてくることだ。個々の技術が高いため、圧縮された網の間にパスを通してもミスなく出し入れができる。こうして相手の守備網を動かしてから、空いたスペースへ後方の選手が飛び出し、崩しからフィニッシュの局面へと到達することになる。

f:id:awaraccoondog:20210309183126p:plain

パス交換から相手の守備網を動かす

f:id:awaraccoondog:20210309183424p:plain

相手が動いたらスピードアップ

 近い距離=ミスが起こりにくいパスを基調に攻撃を開始し、個々の技術を生かして狭いスペースでも繋ぐ。そしてスイッチとなる縦パスが入れば、ウイング、インサイドハーフサイドバックが、ポジションを調整しながら、列が重ならないように飛び出してくる動きも非常に巧みである。

f:id:awaraccoondog:20210309184046p:plain

レーンが重ならないように調整しながら後方の選手が攻撃に参加


 ドリブル突破が武器の左サイドの三笘、キープ力無双でタメを作る家長と、両サイドにタイプの異なるアタッカーを揃える。家長がキープして山根が駆け上がる。相手が右サイドに寄って来たら、逆サイドに振るなど、パターンも多彩。シミッチの加入で、中盤の底からのロングフィードもある。徳島サポにとっては、去年の小西をイメージしてもらえるとわかりやすいだろうか(もっともロングキックの精度と威力は小西が勝ってると思いますけど)

f:id:awaraccoondog:20210309184802p:plain

武器のある選手が多い川崎

 

 徳島はこれまで通り、[4-4-2]でのセットを基本にプレッシングを開始するだろう。最初のポイントはファーストディフェンス。一列目は二人で相手のセンターバック+アンカーを見る形になるだろう。徳島にとって幸いなのは、川崎がビルドアップにおいてキーパーを組み込む機会がそれほど多くないことだろうか。

f:id:awaraccoondog:20210309185254p:plain

一列目の守備でコースとサイドを限定させたい

 徳島からすると、対人能力の高い選手が揃う右サイドへ誘導するのが常道か。ただしこちらには、川崎の武器である三笘がいる。左サイドへ誘導するのであれば、サイドバックは田向の起用があっていいかもしれない。

 

ボール保持よりプレッシング?

 「最近の川崎で注目すべきは、ボール保持よりプレッシング!」との声をよく耳にする。川崎のプレッシングは、レアンドロ・ダミアンが口火を切る形で行われる。インサイドハーフが列を上げて[4-4-2]のような形になることもあるが、基本的には[4-3-3]。特徴的なのは、ウイングが外を切る形でアプローチし、中央の3センターで回収するケースが多いことだ。たとえ長いボールを蹴っ飛ばされても、残念そこはジェジエウ。この試合でも、ピッチ中央付近では[岩尾・ジョエル]の徳島のペアに対して、川崎の3枚で数的優位が発生するため、この形を継続してくるものと思われる。

f:id:awaraccoondog:20210309191759p:plain

川崎のプレッシングと数的優位が発生するエリア

 徳島はキーパーも参加させてのビルドアップになるが、空いた選手の見極めとパスの正確性が、これまで以上に重要になる。川崎のプレッシングは、確かに速さと強度を伴って行われる。だが人に強くアタックする傾向が強い反面、スペースは確実に発生する。特に3センターハーフの脇や裏といったスペースを的確に使いたい。サイドバックが内へ絞る動きで3センターをピン留めする。あるいは垣田と渡井をあえて同じレーンに並べて、渡井をフリーにするのも面白いだろう。

f:id:awaraccoondog:20210309192616p:plain

空くスペースを的確に判断する

 

まとめ

 川崎は強い。とりわけ前線には小林、遠野、長谷川など強力なサブを擁し、彼らが出場したときには違った一面を見せる。ただ、ボール保持とプレッシングという長所は変わらないので、これらに対抗する術が必要になる。川崎の圧力に屈さず、いつものように試合を落ち着かせることができるか。そして相手のボール保持に焦れず、狙いをもった守備を続けることができるか。ミッドウィークのアウェイゲームという厳しい条件ではあるが、自分たちの力をぶつける絶好の相手でもある。リスペクトではなく勇気を。そして、健闘ではなく勝利を。