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徳島ヴォルティスを分析するブログ

2018明治安田生命J2リーグ第9節 FC岐阜vs徳島ヴォルティス ~勝敗を超越した好ゲーム~

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岐阜サブ・GK原田、DF長沼、イヨハ理ヘンリー、MF三嶋、風間、FW山岸、難波

徳島サブ・GKカルバハル、DF石井、井筒、MF内田裕、前川、小西、FW薗田

 

岐阜公式・vs徳島ヴォルティス – FC岐阜オフィシャルサイト

徳島公式・徳島ヴォルティス オフィシャルサイト

 

ここまで8試合中、3得点をあげた試合が既に三度と、今季も攻撃サッカーを披露しているFC岐阜(それでも16位というのがまた「岐阜らしい」とも感じるが)。スコアレスに終わった前節・東京V戦(A)から永島→中島と変更。中島をアンカーに置いた4-3-3でスタートする。

 

徳島ヴォルティスは、押し込みながらドローに終わった栃木戦(A)からスタメンを五人変更。シシーニョ・ブエノの出場停止組、体調不良だった大﨑がスタメンに復帰。他にも梶川は開幕戦以来、古巣対戦となる大本は移籍後初のスタメン。システムは3-1-4-2。新潟、東京Vに連敗したあと栃木にも引き分けと、そろそろ勝点3が欲しい試合だ。

 

 

 鍵は中盤の三角形

大木武監督が率いるFC岐阜リカルド・ロドリゲス徳島ヴォルティス。共にボール保持攻撃に特徴のあるチームの対決とあって、ポゼッション→トランジション→高強度プレッシングと局面が目まぐるしく入れ替わる好ゲームとなった。その中でもシステムのミスマッチを生かした互いの狙いには差異があり、紐解きながら試合を振り返っていきたい。

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両チームのシステムをかみ合わせたとき、相手チームの前進を阻害するために重要となるのは、まず中盤の3人のエリアになる。3バック+岩尾でビルドアップを試みる徳島に対して、岐阜は宮本が積極的に前に出ることによって人数を調整。人を捕まえる守り方で対応を試みていた。

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このような属人的な守り方は、守備対象が明確になるというメリットがある一方で、相手のポジショニングによって陣形が左右されやすい。特にアンカーの中島までつり出されてしまうとDFラインは無防備な状態に晒されてしまう。岩尾はその隙を逃さずに縦パスを供給し、ミドルサードでは攻撃のスイッチを入れる、ファイナルサードでは決定機を演出するといった役割を果たしていた。

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サイドアタックと密集

立ち上がり15分ほどは徳島の猛攻に晒された岐阜だったが、ビクトルの好守、徳島の変わらぬ決定力不足にも救われ、落ち着きを取り戻していく。こちらはビクトルをビルドアップに組み込みながら徳島のプレスを回避し、狙うは3バック脇のスペースだ。

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特に「J2屈指のサイドアタッカー」の地位を築きつつある古橋に、いかに良い形でボールを届けるか。さらにその後の周囲のサポートといったあたりは、攻撃の成否を占う大きなポイントとなる。この点に関しては、徳島のプレッシング強度との兼ね合いでもある。ボールホルダーに圧力がかけられていればパス精度も低下するが、岐阜はこれを避けるため小野や中島がCBCB間やSBCB間にポジションを下げることによって、徳島の守備の基準点を曖昧にしようと試みていた。

 

アンカーの中島までがどんどん人を捕まえにいく岐阜と異なり、徳島の岩尾はバランスを見ながら最適なポジションをとる。逆に岐阜としては、徳島のDFラインにアタックを仕掛けるためには岩尾の存在が邪魔になる。そこで、古橋のスプリント力とキープ力を生かしてタメを作り、左サイドで密集を作っておいてから裏抜け、カットインといったパターンを多用していた。

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両チームともボールを失うと、周辺の密度を高めて一気に圧力をかける(代償として最終ラインはしばしば敵アタッカーと数的同数になる)ため、その網を抜け出せば大きなチャンス。逆に捕まってしまうとカウンターをくらうというスリリングな展開が続く。岐阜はまずサイドのスペースへ展開することが多かったのに対し、徳島にとって大きかったのは山﨑の存在。前述した縦パスの受け手としての役割のほかにも、GKからの再開時にも中央で起点となれる。他にもセットプレーのターゲット、裏抜けやサイドに開いてのチャンスメイクなど、一人何役もこなす。小柄な選手の多い現在のスカッドにおいて山﨑は替えのきかない選手ではあるが、彼のこなすべきタスクが多すぎるようにも映る。

 

バックパスを織り交ぜる意味

後半最初に決定機を迎えたのは岐阜だった。自陣からのロングボールをセンターサークル付近で受けたライアンが斜め後方へ落とす。スプリントでブエノを振り切った古橋がドリブルで持ち込み、GK梶川と一対一の局面を迎えるがシュートは梶川の正面。対する徳島は、左サイド深く切り込んだ杉本竜がクロス。山﨑がヘッドで合わせるも、ビクトルが左手一本で掻きだし、どちらもゴールを割ることが出来ない。

 

その山﨑の決定機のあとのシーンにおける、岐阜の対応と徳島の崩し方が興味深かったので振り返ってみたい。岐阜は徳島にサイド深くを抉られた状態であるため、全員が自陣に引いた状況からスタートしている。

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徳島は岩尾に加えて大﨑が縦パスを入れることにより、岐阜のプレッシングを無効化しDFをダイレクトにアタックすることに成功する。特に山﨑の高さと強さは明らかな優位性を示していて、山﨑が警戒されるため大本・杉本竜の両サイドが空きやすくなる、という好循環が続いていた。

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徳島が決定機を作りながら決められないなか、岐阜は62分にライアン→風間。ライアンに比べると強さは無いが幅広く動ける風間は、プレッシング隊の先鋒として大﨑・梶川まで追いかけていく。またポゼッション時には、下がってパスを受ける→ドリブルで運ぶ→サイドへ展開といったように、FWだけでなくビルドアップの出口となるような働きも見せる。これにより岐阜の攻撃に流動性が復活していく。

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好ゲームは痛み分け

その後、インテンシティの高さを証明するかのように、岐阜は小野、徳島は杉本竜と足を攣る選手が続出。どちらも交代枠を2つずつ使い、試合は最終盤を迎える。

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徳島は84分、岩尾のパスカットから右サイドへ展開。大本のクロスに山﨑がニアへ飛び込むが、シュートはビクトルの正面。岐阜も風間や最後まで動きの落ちなかった古橋を中心に、鋭いアタックを繰り出すも互いにゴールは割れず。スコアレスドローで試合は終了した。

 

雑感

両チームが良さを出し合った好ゲームだったと思います。リスクを冒してもスタイルを貫く。小細工をせずに長所をぶつけ合う。結果的にそれが相手の良さを消すことにも繋がる。勝敗だけではない、サッカーの確かな魅力がこの試合には宿っていました。

 

勝点3は獲れなかったものの、一歩間違えれば勝点0で終わってもおかしくなかった試合。杉本竜や大本のコンディションも上がってきているので、チーム状態は上向きといえるでしょう。

 

フィニッシュの部分に関しては仕方ないですよね。「ナタンは何のために獲ったんや!」とか言いたいことはあります。でも、移籍してしまった選手や、怪我でスタートラインにすら立てない選手を頼っても仕方ない。

 

加えて山﨑は現状タスクが多すぎるし、島屋は本来フィニッシャーではないなど同情すべき点もあります。難しい状況ではあるが、今いる選手で打開してもらうしかない。微力ながら少しでも後押しが出来るよう、これからもチームを追いかけていきたいと思います。