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徳島ヴォルティスを分析するブログ

2018明治安田生命J2リーグ第10節 徳島ヴォルティスvsカマタマーレ讃岐 ~「あとは決めるだけ」~

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徳島サブ・GKカルバハル、DFブエノ、石井、MF小西、狩野、FW佐藤、藤原志

讃岐サブ・GK ソンヨンミン、DF中島、MF渡邉、鈴木、西、FW森川、木島徹

 

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カマタマーレ讃岐 | 試合・練習 | 試合日程・結果

 

 徳島ヴォルティスのフォーメーションは3-1-4-2。前節・岐阜戦(A)のスタメンからブエノ→井筒、杉本太→前川と二人変更。開幕からチームを支えてきた杉本太、内田裕がサブからも外れ、讃岐戦の翌日に行われたTMにも欠場と状態が心配される。4/7に加入が発表された狩野健太が移籍後初のメンバー入り。

 

 ここまでわずか一勝の最下位と苦しいスタートになっているカマタマーレ讃岐DAZNでは佐々木匠をトップ下、重松を左サイドに配した4-2-3-1と予想されていたが、蓋を開けてみると原と重松の2トップ、佐々木を左サイドに置いた4-4-2。その佐々木匠、そして今も多くの徳島サポから愛されているアレックスは古巣対戦となる。

 

 

人数をかける≠手堅い

  讃岐は苦しいチーム事情を反映するかのような、終始守備的な試合運びを見せた。「まずは失点したくない」という心境は理解できるものの、とはいえここまでボールを奪う素振りすら見せないチームは久々に拝んだ気がする。

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 試合開始当初、原と重松の2トップで岩尾&シシーニョをケアするつもりなのか?と思ったが、 シシーニョが列を移動すると、そのまま付いていくでもなくマークを受け渡すわけでもない。基本的に讃岐の2トップは中央から大きくポジションを動かさず、精力的にチェイシングを行う素振りも無い。加えて二列目以降の選手は、4-4でブロックを組むことが最優先なので、徳島は3バック+岩尾の4人で難なく讃岐の一列目を突破することが出来る。

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 一列目を突破すると徳島の攻撃は次のフェーズに移行するが、讃岐の守備は試合を通して同じ問題を抱えていて、①上述のようにボールホルダーに圧力がかかっていないのでパスコースを制限できない ②このため人数は揃っていても徳島のレシーバーへの対応が後手後手になってしまう ③取りどころが定まらないのでボールを奪えない上に人も動かされてしまう、といったあたりが主な問題点だったと思う。

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人数は揃っているが攻撃を制限しきれない讃岐の守備

 

自由を謳歌する徳島

 以前の徳島であれば、このように「ボールを持たされる」展開に引きずり込まれると困っていたかもしれない。しかし、リカルド・ロドリゲス就任以降は全く別のチームに生まれ変わっている。このことは当然讃岐も認識しているはずなのだが、徳島がチャンスを量産しても守り方に手を加える気配が全くない。このため、徳島がひたすらボール保持を続けながら讃岐ゴールに迫るという展開が続く。

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 徳島の主な攻め筋としては、讃岐2トップの脇を起点にCBが持ち出す、あるいは岩尾やシシーニョが顔を出すことによって前進。ここから讃岐のSBとSHの間で待ち受けるサイドの選手に一度預ける。ここで1on1の形が作れた場合は縦に仕掛ける。SBとSHで挟まれるとCBがオーバーラップ。ハーフスペースでは一人がボールを引き出す動きを見せ、CBを動かして出来たスペースへもう一人が飛び出していく。

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 さらに岩尾やシシーニョがオープンな状態でボールを保持できるため、ブロック内にも精度の高いパスを送り込むことが出来る。30分過ぎにはゾーンの隙間を狙って前川・山﨑・島屋の3選手がポジションチェンジを行い、最終的には一番危険なエリアに顔を出した島屋へ、岩尾からのパスが通るといったシーンもあった。

 

讃岐の抵抗と更に露呈する問題点 

 彼我の戦力差・スタイルの違いを考慮すれば、讃岐にとって押し込まれることは想定内だったのだろう。ブロックを築き人数をかけて耐える。とはいえゲームプランを考えると、体力的な面から90分ずっと走らされっぱなしというわけにはいかない。徳島のポジションチェンジに対応するため陣形は乱れ、2トップも押し込まれるためカウンターも難しい。そんな中で讃岐が大切にしていたのは流れを一度リセットできる、ゴールキックでありスローインだった。

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 特に左サイドのアレックス・佐々木のラインは讃岐の攻撃の生命線で、こちらのサイドに重松も流れてくる。アレックスの左足を起点に、縦パスを入れる→重松が受ける→空いたスペースへ佐々木やボランチが突撃するといったパターンで数少ないチャンスを生かそうとしていた。

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アレックス・佐々木の左サイドが讃岐の僅かな希望

  この讃岐の攻撃も、幾つかの欠点を内包していた。アレックスを経由してビルドアップを出来た場合は良いが、圧力をかけられてGKやCBからロングボールを蹴った場合。J2の下位にも、荒削りではあるが高さ強さ速さといった要素を持つCFを擁するチームもあるが、原・重松の二人は一芸に秀でたタイプではない。このため五分以上の確率で徳島が落下点で競り勝つことが出来る。加えて讃岐の二列目は徳島の攻撃に押し込まれているため、押し上げに時間がかかる。

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 攻守が入れ替わると、今度は讃岐の二列目と三列目が間延びした状態で徳島の攻撃に移行する。このため徳島は、讃岐のセット守備に対してだけでなく、トランジションからも殴り続けることに成功していた。こうなると一方的な展開になるのも必然といったところだろうか。

 

変わらなかった振る舞いと変化したスコア

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 前半を何とかスコアレスで凌いだ讃岐は、後半途中からセット守備の陣形を5-3-2に変更する。だがボールホルダーに圧力がかからないという根本的な問題は放置されたままで、徳島はボール保持攻撃から押し込み続けていた。

 

  徳島がほぼ90分間一方的に支配した試合だったが、讃岐は66分コーナーキックセカンドボールを回収し、サイドに開いていたキッカーの佐々木に再びパス。佐々木は対面のシシーニョを交わすとゴール前へクロスをあげる。このボールがGK梶川の頭上を越え、ファーサイドで待ち受けていた永田が頭で合わせて先制する。

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 先制ゴールを受けて徳島は71分に井筒→佐藤で4-4-2へ変更。さらに81分には移籍後初出場となる狩野を投入する。全員が自陣に下がりゴール前にバスを停める讃岐に対し、徳島はサイドアタックから決定機を創出する。大本のクロスと島屋のクロスに佐藤が頭で合わせたのが2度。杉本竜のクロスに合わせた狩野のヘディングはバーを直撃し、最後までゴールを割れず。徳島にとっては、まさかの黒星となった。

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雑感

 セットプレーも含めてバーに当たったのが5度。GKが反応できずに枠を逸れていったシュートも含めれば、7~8点入ってもおかしくないような内容だった。立ち上がり15分ほどに限定しても決定機が3度はあり、そのうち1つでも決まっていれば、全く別の結果になっていただろう。

 

 決めるべきところで決めるべき人が決められない。ますます攻撃にかける人数が増える。様々な選手に決定機が巡ってくるのは悪いことではないが、決めるべき選手が定まっていないことの裏返しでもあるように思える。最終的に「誰にどのような形で得点を獲らせるか」が攻撃におけるゴールなのだから。

 

 「あとは決めるだけ」。監督の手腕や構造的な問題ではないだけに尚更解決が難しい。