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徳島ヴォルティスを分析するブログ

2018明治安田生命J2リーグ第28節 レノファ山口FCvs徳島ヴォルティス ~やられたらやり返せ~

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徳島サブ・GK吉丸、DF鈴木、MF狩野、大本、前川、藤原志、FW佐藤

山口サブ・GK藤嶋、DFワシントン、MF高柳、池上、大崎、FW大石、高木大

山口vs徳島の試合結果・データ(明治安田生命J2リーグ:2018年8月12日):Jリーグ.jp

 

 レノファ山口はリーグ戦7試合、期間にすると約二ヶ月間勝ち星なしと、厳しいチーム状況。ちなみに前回白星をあげたのは、徳島との一巡目の対戦時。当時の鮮烈な印象を思い返すと、にわかに信じがたい状況だ。この試合では、前節出場停止だった前がスタメンに復帰。さらに岸田もスタメンに名を連ねたことから「2トップなのでは?」との予想が、試合前からSNS上にも出回っていたが、蓋を開けてみると4-3-3だった。リカ将見てる?

  徳島ヴォルティスは、軽度のアクシデントがあったウタカがメンバー外となったが、バラルが加入後初スタメン。さらに大本→内田裕が左WBで先発というのは、今振り返ってみると、この時点で既に長崎への移籍が決まっていたのだろうか。なお山口・徳島共に未消化の試合が一つずつあり、リーグの日程では28節に相当するが、これが27試合目となる。

 

 対戦相手となるレノファ山口のゲームモデルに関しては、著名なレノサポでありますジェイさんによる素晴らしい記事がありますので、こちらも合わせてどうぞ。

 

 

主力の離脱と融合

 SNSを中心に何かと話題になったこの試合(おかげで非常に書きにくい笑)。山口は小野瀬、徳島はこの時点で山崎・大崎と、それぞれ夏のマーケットで主力をJ1クラブに引き抜かれており、チームの建て直しを余儀なくされている。そして順位上、昇格のためには上位のクラブを捲る必要があり、両監督には極めて難しいミッションが課されているといえるだろう。徳島はバラル、山口は高井、ワシントンと、新戦力の融合を進めながら、勝点3を拾っていく必要がある。

 そんな苦境に立たされている両チームであるが、立ち上がりから攻勢に出たのはホームの山口だった。開始早々徳島に先制を許したものの、怯むことなく準備してきたものをピッチ上で表現する。

 ここ数試合の対戦相手がそうであったように、そして5-3-2対策としては鉄板でもある、徳島のアプローチが届きにくいSBをビルドアップに組み込む。自陣の低い位置でも横パス交換を行ってサイドを変えるなど「ここは安全なエリア」と確信をもってプレーしていることは明らかだった。

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 この日は最前線のオナイウに加えて、ワイドストライカーに岸田が起用されていたが、安易に放り込むことは選択せず、しっかりと一枚一枚徳島の選手を丁寧に剥がすように攻撃を組み立てていくのも、また山口らしいといえるだろう。一列目と二列目のポジショニングで、まず中のパスコースを消したい徳島に対して、SBを有効活用しながらボール保持を続ける山口という構図が前半の多くの時間で続いた。

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徳島のWBが対応した場合

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徳島のIHが対応した場合

 徳島にとってはWBがアプローチに出ると、DFが一つずつポジションをスライドする必要が生じるためラインが分断され(特に低い位置でボールを持たれると、各選手の移動距離が長くなる)その間を突破されてしまう。IHが対応すると、山口の三幸・前を中盤の残り二選手(上図なら岩尾とシシーニョ)がケアすることになる。 すると二列目と三列目の間が間延びして、バイタルエリアが露わになってしまう、という悪循環からなかなか抜け出せなかった。

 特に前半は「山口の心臓」三幸が近寄ってくることの多い左サイドからの攻撃が目立ち、岸田がワイドに張ったポジションからゴール方向へ抜け出す動きを繰り返し見せたり、徳島のDFラインがスライドしたところをオナイウがハーフスペースへ抜け出す。また、前回対戦時では前が頻繁に見せていた、DMFが攻撃参加して出来たスペースにSBがレーンと列を移動してネガティブトランジションに備える仕組みも継続されていた。

 一点目はオナイウの抜け出し→クロスから、徳島のゴール前が手薄になったところを丸岡が内田との競り合いを制してプッシュ。二点目は右サイドからのクロスにオナイウ・逆サイドから走りこんできた岸田と、ゴール前に二つターゲットを用意し、CBの間をとったオナイウがヘディングを突き刺す。「今日こそいけるぞ」と、山口の選手たちは、準備してきたことに手応えを感じながら堂々とプレーしているように映った。

 

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 システムをかみ合わせることによって守備対象を明確にし、特に岩尾からの大きな展開を防ぐ山口の守備に苦しんでいた徳島だが、徐々に糸口を掴みかけていく。きっかけはハーフスペースに登場したバラル。高い位置に張り出す内田裕。この左サイドを囮に、逆サイド大外の広瀬へ。ただし広瀬がまだ万全ではないことに加えて、岸田のプレスバックや廣木の対応によって、決定機までは辿り着けずにいた。

 

打開策は再び4

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 山口のゲームプランにより後手後手に回る徳島。一方の山口にも岸田の負傷があり、試合は前半から慌しい動きを見せる。

 前節の水戸戦でも「相手のSBにプレスをかけるため」に試合途中で5-4-1へ変更したリカルドだったが、この試合では4-4-2を選択。前節と異なり、1点ビハインドという状況下で、あまり後ろを重くしたくないという意図もあったのだろう。

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 この変更で目立っていたのは右SHに入った広瀬のレーンの移動だった。ハーフスペースへ移動して守備の基準点を曖昧にすると共に、大本の滑走路を確保する。 これにより3-2-5のような形に変化することによって、各ポジションで山口の守備を惑わせる事が出来る。

 「人に重きを置いたゾーン」で守る霜田レノファは、守備対象が明確である場合や、前向きのベクトルでどんどん人を捉まえにいける状況では強さを発揮する。ポゼッションだけでなく、ポジティブトランジションからのショート・ミドルカウンターでもどんどん人が飛び出してくる。一方で、一箇所二箇所とプレスを無効化されると、ドミノ倒し的になし崩しになる脆さも同居しているように映る。この辺りが、得点が多いが失点も多いという数字にも表れているのだろう。小野瀬が何とかしてくれたこれまでとは勝手が異なるので、どう陣地回復していくかも含めて「引かざるを得なくなった場合の対処」はこれからの課題なのかもしれない。

 

既視感のある光景

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 マッチアップを明確にし、積極的に人を捉まえる守備がハマる徳島に対して、山口は、大本のポジショニングによって高木大が最終ラインに吸収される→圧力のかからないまま5-3-2のような形で押し込まれるという、前半どこかで見たような光景が繰り広げられることになる。また岸田、鳥養と怪我で二枚カードを切らざるを得なくなったことも、試合終盤において大きな影響があったように思う。右サイドに回った高井の運動量が落ちてくる→ますますオナイウが孤立するという悪循環に陥る。

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人への意識が強い山口と、一枚ずつ剥がしてHSをアタックする徳島


 「二列目を四枚にしてSBへの圧力を高めると共に、ハーフスペースの入り口に蓋をする」という徳島の守備の概念自体は、水戸戦と通底するものがあったと思うが、今回は内田裕、広瀬、大本とサイドプレーヤーを三枚残して、まず前方向への圧力を強める。より高い位置から人を捉まえていく守備を実行する。システムのミスマッチを生かしてボール保持が出来るようになれば、狩野を投入してライン間で長所の生きる選手を増やす。そして最後は佐藤の献身的なプレッシングからの一発にかける、という段階を踏んだリカルドのカードの切り方も、理に適ったものだったように思える。

  前半は山口、後半は徳島のゲームだったことを考えれば、痛み分けは妥当な結果といったところか。そしてアディショナルタイムに起死回生の同点弾を決めたのが、前山口所属の島屋というのも何という結末か。このときは、まさかこれが徳島でのラストゲームになるとは思いもしなかったわけだけど。

 

雑感

 仕事の都合で転居することになり、準備等が忙しく更新が滞っておりました。話題に乗り遅れた感満載であり、記事を書く意味について考えたこともありましたが、あくまで「シーズンを通してチームを追いかける」ことが当ブログの趣旨であるため、遅ればせながら更新しました。少し落ち着いたら、更新ペースを上げていきたいと思っています。でも、それがいつになるかは分かりません。予定は未定!